単一巨大リポソーム法を新たに開発し、リポソーム一つひとつのふるまいを可視化

我々は、新しいイメージング法や生物物理的測定法を開発し、それらを駆使して生体膜や脂質膜の機能やダイナミクスの素過程を解明することにより、それらのメカニズムや設計原理を明らかにする研究を行っています。
生体膜とは、細胞の外側の細胞膜や細胞内の種々の膜の総称です。脂質や蛋白質からなる厚さ4ナノメートル程度(1ナノメートルは10億分の1メートル)のシート状の超分子集合体で、生理的に重要な役割を果たしています。
生体膜や脂質膜は、水溶液中では閉じた袋状の構造(リポソーム)を形成します。従来の膜の研究では、小さな直径のリポソームが多く存在する懸濁液の測定によって物理量の平均値を求める方法が用いられてきました。しかし、この方法では、集団の平均的なふるまいは把握できますが、一つひとつのリポソームのふるまいはよくわかりませんでした。
そこで、我々は新たに直径 10マイクロメートル以上の巨大リポソーム(GUV)1個を用いた「単一巨大リポソーム法(単一GUV法)」という方法論を開発し、種々の物質とリポソームが相互作用しているときのリポソーム一つひとつのふるまいを可視化できるようにしました。