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卵子は精子を食べて受精を成立させる -食作用に類似する受精様式を発見-

2025/04/21
プレスリリース

静岡大学農学部の齋藤 貴子助教、福島県立医科大学の井上 直和主任教授、和田 郁夫名誉教授の研究グループは、受精の成立には卵子の食作用(注1)に類似した生理反応(SEAL: Sperm Engulfment Activated by IZUMO1-JUNO Linkage and gamete fusion-related factors)が必須であることを発見しました。

【研究のポイント】

?哺乳類の受精では、卵子の食作用に類似したSEALが形成され、卵子が精子を飲み込むように融合することを明らかにしました。
?精子IZUMO1と卵子JUNOが結合すると、卵子表面の微絨毛が精子に集合してOocyte tentacleを形成し、SEALが活性化されることが明らかになりました。
?これまでに発見されている配偶子融合に必須な9種類の細胞膜結合型タンパク質は、SEALを活性化する異なるステップを制御していることを示しました。


哺乳類の受精は、精子のIZUMO1(注2)と卵子のJUNO(注3)の結合により成立します。これまで、CD9やSPACA6など複数の融合必須因子が特定されていましたが、その作用メカニズムは不明でした。
本研究では、IZUMO1とJUNOの結合を介した精子と卵子の接着後に、卵子の微絨毛(注4)が精子頭部に集合してラメリポディア(注5)様の「Oocyte tentacle」を形成することを発見しました。
さらに、複数の融合因子が協調して卵子が精子を食べるかのような「SEAL」を惹起し、受精に至ることを示しました。
本研究で得られた研究成果はマウスを対象としたものですが、SEAL形成の詳細な分子メカニズムの解析によって、今後、ヒトの受精研究や不妊治療に貢献する基礎研究を大きく進展させると期待されます。

なお、本研究成果は、2025年4月22日に、Cell Pressの発行する国際雑誌「Cell Reports」に掲載されます。また、本論文は掲載号の表紙に採用されました。


【研究者コメント】

静岡大学農学部 助教?齋藤 貴子(さいとうたかこ)

本研究では、多数の遺伝子改変マウスを用いて、卵子と精子の接触から結合、融合の瞬間を捉え、Oocyte tentaclや、SEALの形成を明らかにしました。
受精の瞬間を捉えるのは、技術的にもタイミング的にも大変難しいですが、様々な改良を重ねることで新たな発見に繋がりました。



【研究概要】

静岡大学農学部の齋藤貴子 助教、福島県立医科大学の井上直和 主任教授、和田郁夫 名誉教授の研究グループは、共焦点顕微鏡や走査型電子顕微鏡を用いた様々なイメージング技術を駆使し、さらに多数の遺伝子改変マウスや培養細胞を活用して、精子と卵子の接着の瞬間から融合までの仕組みを解き明かしました。
本研究では、精子が卵子に接着すると卵子の微絨毛が精子頭部に集合してラメリポディア様の「Oocyte tentacle」を形成することを発見しました。
さらに、複数の融合因子が協調して卵子が精子を食べるかのような「SEAL」 を惹起し、受精が成立することを示しました。
また、SEAL形成後にはJUNOが消失し、多精子受精を防いでいることも示唆されました。


【研究背景】

哺乳類の受精は、精子側のIZUMO1が、卵子側のIZUMO1受容体JUNOを特異的に認識することで配偶子である精子と卵子が融合し、成立します。
これまでIZUMO1-JUNO複合体を含め、細胞膜結合型の数種類の配偶子融合必須因子群 (卵子CD9、精子SPACA6、TMEM95、FIMP、TMEM81、DCST1、DCST2) が同定されていますが、これらの分子がどのように作用し受精が成立するのかは不明でした。


【研究の成果】

本研究では、受精の成立には卵子の食作用に類似した生理反応(SEAL:Sperm Engulfment Activated by IZUMO1-JUNO Linkage and gamete fusion-related factors)が必須であることを発見しました。
精子が卵子に接着すると、最初に精子IZUMO1と卵子JUNOが結合することで配偶子間の認識が行われます。
この反応には卵子表面に無数に存在する微絨毛が必要となります。
IZUMO1-JUNO複合体の成立後、卵子上の微絨毛は精子頭部に集合し、精子との接着面の先端が葉状に広がったラメリポディア様の特徴的な構造体である「Oocyte tentacle」を形成します。
さらに、配偶子融合必須因子である精子SPACA6、TMEM95、FIMP、TMEM81、DCST1、DCST2が協調して、まるで卵子が精子を食べるかのような「SEAL」を惹起し、配偶子融合を経て受精が成立することが明らかになりました。
また興味深いことに、SEAL形成後の卵子表面では、必ずJUNOが消失していることが判明しました。
これは新たに2匹目の精子が卵子と受精しないようにする多精子受精拒否機構の一つだと考えられます。


【今後の展望と波及効果】

本研究は、多数の遺伝子改変マウスを駆使して得られた研究成果です。
今後、SEAL形成の詳細な分子メカニズムを解析することで、マウスだけでなく哺乳類共通の受精機構の解明が期待されます。この波及効果は大きく、細胞生物学?発生生物学の更なる発展を促すとともに、生殖補助医療の進展にも貢献すると考えられます。
さらに、哺乳類の受精メカニズムの理解が深まることで、生殖異常の原因解明や治療法の開発にもつながる可能性があります。

【写真の説明】 精子が卵子に接着した直後の様子です。卵子の微絨毛が精子に接着し、「Oocyte tentacle」を形成しています。この後「SEAL」形成に進み、最終的に精子は卵子に飲み込まれます。

【写真の説明】
精子が卵子に接着した直後の様子です。卵子の微絨毛が精子に接着し、「Oocyte tentacle」を形成しています。この後「SEAL」形成に進み、最終的に精子は卵子に飲み込まれます。

【論文情報】

掲載誌名:Cell Reports
論文タイトル:Noncanonical phagocytosis-like SEAL establishes mammalian fertilization
著者:Naokazu Inoue, Takako Saito, Ikuo Wada
DOI:10.1016/j.celrep.2025.115463


【研究助成】

日本学術振興会 科学研究費助成事業 JP18H02453, JP22H02635 and JP23K23898 (NI)
日本学術振興会 科学研究費助成事業 JP17K15128 and JP23K05779 (TS)
日本学術振興会 科学研究費助成事業 JP17K07311 (IW)


【用語説明】

注1:食作用
細胞の物質輸送の一形式で、細菌や粒子などを細胞内へ取り込む。食作用の代表例として、好中球やマクロファージなどの免疫細胞が、病原体や細胞死の際に生じる細胞の残骸などの異物を細胞内に取り込んで分解するメカニズムがある。

注2:IZUMO1
縁結びで有名な出雲大社に因んで命名された精子側の配偶子融合因子。2005年、井上らによって発見された。

注3:JUNO
ローマ神話において結婚と出産を司る女神に因んで命名された卵子側の配偶子融合因子。

注4:微絨毛
細胞表面の小さな突起で、内部にアクチンフィラメントの束を芯としてもつ。小腸や卵子の細胞表面に見られる。

注5:ラメリポディア(波うち膜、膜状仮足とも呼ばれる)
培養細胞の辺縁部が幅広く薄くなった部分。活発な運動性を有し、細胞の移動する側の先端にみられる。

問い合わせ先:

(研究に関すること)
静岡大学農学部
助教?齋藤 貴子(さいとう たかこ)
TEL : 054-238-4150
E-mail : saito.takako[at]shizuoka.ac.jp

(報道に関すること)
静岡大学 広報?基金課
TEL : 054-238-5179
E-mail : koho_all[at]adb.shizuoka.ac.jp

※[at]を@に変更してご利用ください。