地域連携の結果、リンゴの新品種が農水省に登録されました -大型で収穫期の早い「ふじ」の枝替わり『麒麟児』誕生-
2024年9月17日に、弘前大学が2020年7月に出願したリンゴの新品種が「麒麟児(きりんじ)」として農林水産省に品種登録されました(登録番号:30451)。
麒麟児の発表会を10月31日に弘前大学藤崎農場(青森県藤崎町藤崎字下袋7-1)で、はじめての販売会を静岡県の小売店株式会社田子重下川原店(静岡市駿河区下川原5丁目36-30)で行いますので、ぜひ取材していただきたく、お知らせいたします。
弘前大学は、麒麟児の品種登録を目指した研究を2009年にスタートさせました。麒麟児は鳥取県八頭町在住の果樹生産者 丸山 茂 氏(現在99歳)により発見されました。丸山氏は、植栽した「ふじ」の木の一枝が、通常とは異なる大型で早期に成熟する果実を産することを確認し、鳥取大学の研究者を通じ弘前大学の 松本 和浩 助教(当時:現静岡大学教授)が品種登録に向けた研究を行いました。松本氏は静岡大学に異動後も後任の林田大志助教や藤崎農場の技術職員の藤田知道氏、佐藤早希氏とともに栽培研究、貯蔵研究、倍数性確認研究等を行い、他品種とは異なる特異な形質を有するふじの枝変わり品種であることを確認し、弘前大学が品種登録の申請を行いました。丸山、松本、林田、藤田、佐藤の5名が本品種の育成者です。
「麒麟児」は、500g程度の大型の果実を産する3倍体の果皮の赤い品種です。津軽地域における収穫期は10月下旬で、ふじと比べ半月ほど早く収穫されます。甘酸適和で蜜も入り、香りも良好です。そのため、贈答用、輸出用としての需要も見込んだブランド展開が可能です。麒麟児の命名の由来は、①発見地の鳥取県東部地域では真っ赤な衣装をまとった麒麟獅子舞(国指定重要無形民俗文化財)が無病息災を願って舞われること、②将来性のある若者という麒麟児の意味が育成者の願いと一致する、等です。
異なる地域の大学が連携し、果樹生産者の発見を品種登録に導いたこれまでにない地域連携、地域貢献の成果であることから、ぜひこの背景を多くの皆さんに知っていただき、栽培の拡大にご協力いただけたらと思っております。また、静岡県で大学教員がリンゴの育成者と登録されることは極めてまれで、初の販売会が育成者の参加の下、静岡県で行われることも初めての試みです。産地と消費地の連携活動についても注目いただければと思います。
■今後のスケジュール等(取材依頼)
○10月31日(木)9時00分から
場所:弘前大学藤崎農場(青森県藤崎町藤崎字下袋7-1)
リンゴ「麒麟児」の果実品質の説明、試食、箱詰め作業
(林田、藤田、佐藤の3名が対応いたします。)
○11月9日(土)9時00分から
場所:田子重下川原店(静岡県静岡市駿河区下川原5丁目36-30)
麒麟児の初めての販売会
(松本が解説を行いながら店頭販売を行います。)
関連リンク
問い合わせ先:
静岡大学農学部
松本 和浩
〒422-8529 静岡県静岡市駿河区大谷836
TEL : 054-238-5149
E-mail : matsumoto.kazuhiro[at]shizuoka.ac.jp
弘前大学農学生命科学部附属
生物共生教育研究センター藤崎農場
林田 大志
〒038-3802 青森県南津軽郡藤崎町藤崎字下袋7-1
TEL : 0172-75-3026 FAX : 0172-75-5646
E-mail : hayashida[at]hirosaki-u.ac.jp
※[at]を@に変更してご利用ください。